DASH島で反射炉を作るとやっていたので、日本ではじめに反射炉を作ったときにどのような苦労があったのかが載っている本があったので読んでみました。反射炉自体は大砲を作ろうとしたときに。
青銅で作る→銅が足りなくなる→鉄で作ろう→炉が必要→反射炉
最近江戸時代はすごかったというのが氾濫しているが、調べてみるとなんとなくほとんど嘘じゃないかと思うことが多い。鎖国をしているうちに急激な科学的進歩が日本以外であり追いつくのに苦労する話である。ホントなんで江戸時代は鎖国したんだろうか。鎖国しなければもっと早い段階で江戸幕府が解散になっていたから先延ばしにしたかったのかな。鎖国はなかったというのが定説になるようだけど、工学から見るとどうでもいい話に思える。
日本近代技術の形成―“伝統”と“近代”のダイナミクス (朝日選書)
- 作者: 中岡哲郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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この本の面白いところは、技術移転のときにどのようなところで躓いたかである。例えば、大砲を作ろうとして反射炉を作ってみたが、砲弾を打とうとしたら砲身が爆発したことや。鉄で大砲を作ろうとしたが無理なため、青銅でつくった。蒸気船を作っても馬力が五分の一しか出なかったり。
それらは、本で読んでしらべたり観た人の話を聞いただけで作ろうとして。その技術の背後にあるものについて技術移転できなかったために起こった。もちろんそうなったのは鎖国していたからだけど。直接的に人から人に教えを請うことが難しかった。
品物を持ってきてコピーしても手作業で作っていたので精度が出なかったり。個人の技量に頼る時代が終わり、工作機械で均一のものを作る時代に移行していく。そういった時代の変化に取り残されていた日本の苦闘について書いている。
本の内容は紡績、製鉄、造船についての話が主にある。
江戸幕府の酷さは、足の引っ張り合いにあって新しい技術を開発したひとや舶来の技術を吸収した人を殺してしまっているので。幕府自体を倒さない限り外国に植民地化されて奴隷化されるという危機感が幕府内や薩摩藩にあって討幕運動に繋がったが。討幕運動した人たち自体が邪魔だと気づいてしまう。結局倒幕側の思いと関係なく外国の圧力に開国に向かう。
技術移転の難しさと材料の違いが機械を買っただけでは動かない事に気づくまで。例えば、日本の綿とアメリカの綿の違いが同じ機械で糸を紡ぐことができなかったり。木炭からコークスの切替に森林資源を食いつぶすことがあったのに。コークス炉に木炭を利用しようとして失敗した。鼠鉄と銑鉄の違いからくる加工のしにくさ気づくまで。